睡眠時無呼吸症候群と逆流性食道炎(GERD)の関係|すぎもと医院 院長コラム

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院長コラム~病気や健康維持のワンポイントアドバイスなどをお届けいたします

vol.35 睡眠時無呼吸症候群と逆流性食道炎(GERD)の関係について

2022/12/14

私は循環器内科(心臓病や高血圧、動脈硬化などの生活習慣病など)を専門としておりますが、循環器の病気は睡眠時無呼吸症候群を合併することが多く、当院でも心臓病にプラスして睡眠時無呼吸症候群もよく診ておりまして、今回は循環器の病気ではなく睡眠時無呼吸症候群とあまり関係なさそうな逆流性食道炎との関係についてお話したいと思います。

結論から言いますと睡眠時無呼吸症候群と逆流性食道炎の関連性は強いと考えます。色々な文献で双方が合併しやすいと報告されていますが、文献によりばらつきがあり大体30%~70%の人が合併していると報告されています。ただ睡眠時無呼吸症候群の重症度と逆流性食道炎の発症の関連性を認めなかったとの文献もあり、まだまだOSASとGERDの間には論争がありそうなので更なる研究が必要であると思われます。

なぜ合併するのか

睡眠時無呼吸症候群と逆流性食道炎が合併する要因は、現時点で不明な点も多いようですが、睡眠時無呼吸症候群の患者さんは肥満の方が多く、腹圧が高いので胃酸が逆流しやすい、無呼吸の間は胸腔内圧が陰圧になるので胃酸が逆流しやすい、胃酸の逆流で上気道が炎症しそれによる上気道の狭窄、閉塞を引き起こしている、あるいは脂肪食が好むため胃酸過多になりやすい、アルコールをよく飲むなど両者には因果関係があると考えられております。

治療法

胃酸分泌抑制剤

まずは逆流性食道炎の薬として胃酸分泌抑制剤を投与します。胃酸分泌抑制剤は最近ではボノプラザン(タケキャブ®)やエソメプラゾール(ネキシウム®)など、PPIという種類の薬を投与します。
PPI投与で逆流性食道炎は改善されるのは予想されますが、Seniorらの報告ではPPIの投与1ヶ月後の無呼吸指数(AHI)をPSG検査で測定すると31%無呼吸も改善していたとの報告もあります

CPAP

睡眠時無呼吸症候群と逆流性食道炎を併発している患者様にAJ Ingらは睡眠時無呼吸症候群の患者さんと無呼吸の無い正常な人の胃酸の逆流回数、食道内のpH(酸性度)を測定したところ、逆流回数が多くpHも低下しており無呼吸の患者さんは睡眠中の胃酸の逆流が多いことを示しておりました。(Fig.1) またその患者さんたちにCPAPを装着することで胃酸の逆流回数、食道内のpHの低下する回数が有意に減少しており、CPAPが逆流性食道炎は改善する可能性を報告しておりました。(Fig.2)

結論

睡眠時無呼吸症候群と逆流性食道炎の関連性が高いと考えます。特に逆流性食道炎の患者様でPPIなどを投与してもなかなか症状が改善しない場合も多く、その時は睡眠時無呼吸症候群の合併の可能性も考えてPSG検査などを試してみる価値はあると思われます。

(Fig.1)
睡眠時無呼吸症候群の患者さんと正常な人が睡眠時中に生じる逆流回数、pHが4以下になる頻度
(Fig.2)
CPAP装着することで睡眠時中に生じる逆流回数、pHが4以下になる頻度が減少している。
【参考文献】

菅井 望,鈴木潤一:閉塞性睡眠時無呼吸症候群における胃食道逆流症の合併頻度と病態,消化器科,38: 143~147, 2004.

平田正敏,藤田志保,小西良光,他:閉塞型睡眠時無呼吸症候群患者におる胃食道逆流症について,日本呼吸器学会雑誌,40:168, 2002.

Volume 101, Issue 6, June 1992, Pages 1539-1544

Ing AJ, Ngu MC, Breslin AB. Obstructive sleep apnea and gastroesophageal reflux Am J Med. 2000 Mar 6;108 Suppl 4a:120S-125S.

Kaiser G Lim, Timothy I Morgenthaler, David A Katzka. Sleep and Nocturnal
Gastroesophageal Reflux: An Update Chest. 2018 Oct;154(4):963-971

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