睡眠時無呼吸症候群とは
周りの人から寝ている時に「いびきがうるさい」とか「息が止まっている」とか言われたことはありませんか?
睡眠時無呼吸症候群は英語で言いますと、Sleep(眠る) Apnea(無呼吸) Syndrome(症候群)、その頭文字をとって「SAS(サス)」とも言われます。
医学的には無呼吸が一晩(7時間の睡眠中)に30回以上、若しくは1時間あたり5回以上あれば、睡眠時無呼吸と定義しています。
本来、睡眠とは日中活動した脳や身体を休息させるために必要なものです。
それがSASによって十分な休息を妨げられることにより、日中の眠気や注意力散漫、居眠り運転による交通事故だけでなく、高血圧や心筋梗塞、心不全、脳卒中、認知症、うつ病などの原因の一つとされております。
人生の約1/3を占める睡眠が、SASによって日常生活に様々な影響を及ぼすことがこの病気の怖さの本質です。
睡眠時無呼吸症候群の主な症状
睡眠中に呼吸の停止を繰り返すことで、身体の中の酸素が減ります。寝ている本人には気付かなくとも脳や身体はそれを補うために心拍数や血圧を上げたり、頑張って呼吸をしようとしたりして、一見寝ていても脳や身体は断続的に寝たり起きたりを繰り返すため、休息どころか大きな負担がかかっています。
その結果、強い眠気や倦怠感、集中力低下などが引き起こされ、日中の様々な活動に影響が生じてきます。
- 寝ている間
-
- いびきをかく
- いびきが止まり、大きな呼吸とともに再びいびきをかきはじめる
- 呼吸が止まる
- 呼吸が乱れる、息苦しさを感じる
- むせる
- 何度も目が覚める(夜中に何度かトイレに行く)
- 寝汗をかいてしまう
- 起きたとき
-
- 口が渇いている
- 頭が痛い、ズキズキする
- 熟睡感がない
- すっきり起きられない
- 身体が重いと感じる
- 起きているとき
-
- 強い眠気がある
- だるさ、倦怠感がある
- 集中力が続かない
- いつも疲労感がある
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因
SASの原因として大きく分けて2つあります
1つ目は、空気の通り道である上気道が物理的に狭くなり、呼吸が止まってしまう閉塞性睡眠時無呼吸タイプ(OSA)と、2つ目は、呼吸中枢の異常による中枢性睡眠時無呼吸タイプ(CSA)があります。
閉塞性睡眠時無呼吸タイプ(OSA)について
喉や気道が塞がってしまうタイプ
気道が狭くてふさがってしまって呼吸が止まるパターンです。 気道が狭くなる原因としては、肥満や扁桃腺の肥大のほか、舌根(舌の付け根)、口蓋垂(のどちんこ)、軟口蓋(口腔上壁後方の軟らかい部分)などによる喉や気道の狭窄が考えられます。SASの90%以上がこのタイプです。
見た目の特徴として
- SASになりやすい顔・アゴ・首のタイプ
-
- 首が短い
- 首が太い、まわりに脂肪がついている
- 下あごが小さい、小顔
- 下あごが後方に引っ込んでいる
- 歯並びが悪い
- 舌や舌の付け根が大きい
などです。「SAS=肥満の人」と考えられてきましたが、太っていなくても、痩せていても、女性でもかかる病気で日本人特有の顔、特に顎の形が関係していると言われています。
生活習慣の変化により睡眠時無呼吸を発症、悪化することもあります。
- 肥満傾向がある(首まわりにも脂肪がつきやすく、上気道を狭めやすくなる)
- 仰向けで寝る(重力によって上気道まわりの組織が落ち込みやすくなる)
- 口呼吸をする
- 鼻づまりなどの鼻症状がある
- ストレス・疲れが溜まっている
- アルコールを習慣的に摂取する
中枢性睡眠時無呼吸タイプ(CSA)について。
脳から呼吸指令が出なくなるタイプ
脳から呼吸指令が出なくなる呼吸中枢の異常です。SASの中でもこのタイプは数%程度と少ないです。
肺や胸郭、呼吸筋、末梢神経には異常がないのに、脳から呼吸指令が出ないことにより無呼吸が生じます。
OSAと違い、気道は開存したままです。OSAの場合は気道が狭くなって呼吸がしにくくなるため一生懸命呼吸しようと努力しますが、CSAの場合は呼吸しようという努力がみられません。
CSAに陥るメカニズムは様々ですが、心臓の機能が低下した方の場合には30-40%の割合で中枢型の無呼吸がみられるとされています。