うつ病と睡眠時無呼吸症候群について|すぎもと医院 院長コラム

すぎもと医院 06-6924-7077

  • HOME
  • 院長ご挨拶
  • 診療のご案内
  • 当院で可能な検査
  • 院内設備
  • アクセス

院長コラム~病気や健康維持のワンポイントアドバイスなどをお届けいたします

vol.23うつ病と睡眠時無呼吸症候群について

2019/2/27

うつ病と睡眠時無呼吸症候群はしばしば併存する病気であるとされています。重症の睡眠時無呼吸症候群ではうつ病の発症リスクは2.6倍高くなっていると言われております。1) 理由としては精神疾患による活動性の低下や抗精神病薬の副作用などによる肥満や、抗不安薬、抗精神病薬の副作用による舌や咽頭の筋肉の弛緩が原因で睡眠時無呼吸症候群を発症すると言われています。またうつ病ではセロトニンの作用の低下による筋弛緩も原因の一つと言われています。

内村ら2)の報告によると大学病院でうつ病で入院中の患者さんで睡眠時無呼吸症候群を合併している割合はAHI:5.0/h以上で41.1%、AHI:15.0/h以上で28.2%とされており、健常者はAHI:5.0/h以上で6.2%、AHI:15.0/h以上で3.2%と有意に高かったと報告しています。そのうちでCPAPの適応があった患者をCPAP導入前後で抑うつ症状や熟眠障害、仕事と活動量、意欲の低下や日中の眠気などをスコアリングして比較した場合、導入後は有意差をもって上記のスコアが改善されていたとのことです。またEngleman3)らやJenkinson4)らも同様にSAS合併のうつ病患者がCPAPで改善したとも報告しております。反対に内村らは睡眠時無呼吸症候群で大学病院を受診した患者様で何らかの精神疾患を併存していた患者さんは27.6%で非常に高く、その中でもうつ病が12.1%もいたとのことで、睡眠時無呼吸症候群による睡眠の質の悪化がうつ病などの精神疾患の発症に深く関与していることを示唆していると報告されておりました。

現代のストレス社会のひずみの中で、増加の一途をたどるうつ病ですが、もし患者さんが睡眠時無呼吸症候群を併存していた場合は積極的に治療を介入することで症状の改善寛解の一助になる可能性も十分に考えられます。

  • 1) Peppard PE, Szklo-Coxe M, Hla KM, et al: Longitudinal Association of Sleep-Related Breathing Disorder and Depression. Arch Intern Med 166 (16): 1709―1715, 2006.
  • 2) 内村 直尚, 土生川 光成 睡眠時無呼吸症候群(SAS)と精神疾患―SASとうつ病との関係―精神経誌. 110 (2): 94-98, 2008
  • 3) Engleman HM(1), Martin SE, Deary IJ, Douglas NJ. Author information Respiratory Medicine Unit, University of Edinburgh, UK. Comment in Thorax. 1998 May;53(5):414-5
  • 4) Jenkinson C, Davies RJ, Mullins R, et al.: Comparison of therapeutic and subtherapeutic nasal continuous positive airway pressure for obstructive sleep apnoea: a randomised prospective parallel trial. Lancet 1999;353:2100-58

すぎもと医院 院長 杉本 由文

電話番号:06-6924-7077

オンライン診療「クリニクス」

オンライン診療時間枠を拡大しました

当院のお知らせはこちら

PAGE TOP